LA日々まとめ

2011年6月26日から1ヶ月語学留学をしてきました。
場所は、ロサンゼルスのビバリーヒルズ近郊、ウエストウッドにあるUCLAの語学学校に通いました。


スクールの内容自体は、コミュニケーションを主体にしたもので、日本での英会話教室が少しグレードアップしたぐらいのものです。そのため、皆様のご拝読に足る文章が書けるかというと、少し難しいものがあります。ただ、もちろん発見も多い1ヶ月間でした。このレポートでは、あくまでも自分の浅い経験に基づくものであることを但し書きとした上で、自分なりに、英語、友達、LAの観点から発見をまとめておきたいと思います。



まず英語について発見を述べたいと思います。スクールでは、プレースメントテストの結果がよかったため、最上級クラスに入ることになりました。午前中3時間、午後2時間クラスがあり、生徒は15人ほどです。その国籍は、ロシア、ブラジル、スペイン、台湾、韓国、UAEサウジアラビア、イタリア、日本と多彩でした。授業内容は、ディスカッションを中心にしてテキストを解いていったり、プレゼンテーションを発表したりというものです。日本とは違って、国際的な語学学校での上級クラスは、スピーキングがほぼ問題ない人たちが揃っています。文法や語彙では簡単に負けないものの、自分の場合スピーキングのスピードや表現が弱いので、英語力のなさを痛感することが多々ありました。特に、イタリア人女性は、強いイタリア訛りの発音とbe動詞レベルの文法間違いもお構いなしに、話し続けて、それでも会話がテンポよく進むので驚きました。先生も「イタリア人に文法を学ばせて、日本人に会話をさせるのが、いいクラス」というほどなので、私の場合は、完璧主義にならず、積極的に会話していくことの必要性を強く感じました。
 それでは、積極的に会話していくということはどういうことでしょうか? ただ単に話す機会を増やすということは重要ですが、それと同時に少しの工夫をすることが効果的に会話力を上げるのに有効であるように思えました。その工夫は、3点あって、第一に、時間制限のあるアウトプットを増やすこと。第二に、日本語を英語に訳そうとしないこと。第三に、活きた英語表現を身につける努力をすること、です。簡単にこの3点について述べてみたいと思います。
まず第一に、アウトプットを心がけることです。これは、話す機会を増やすということでもありますが、できればネイティブと話してテンポを真似る、もしくは非ネイティブでもテンポよく話すことを心がけることが重要だと思いました。非ネイティブ同士のコミュニケーションは安心してできても、ネイティブとなると少し不安になるのは、やはりテンポの違いが大きいと思います。この点、英会話学校の先生レベルのスピードで満足せずに、海外ドラマや映画のスピードを目指すことが重要だと思いました。
次に、日本語を英語に訳そうとしないことです。どうしても英語を日本語にしようとするとスピードが落ちます。特に母国語の文構造が英語と異なる日本人と韓国人に、テンポが遅くなってしまうことが多いように見受けられました。日本語が名詞主導で文が決まるのとは対照的に、英語は動詞主導で文が決まることが多いです。”come, get, take, work, put…”など簡単な動詞で文章をリズムよく作っていくことがテンポのよい会話に必要となってくると思いました。
そして最後に挙げるのは、積極的に活きた英語を身につける姿勢です。ただ単に話しているだけでは、たどたどしい英語によるコミュニケーションに終始してしまいがちです。ネイティブと話しているときや、海外DVDや映画を見ているときも、趣のある英語表現はノートをとるぐらいまでして貪欲に覚えていくのが効果的だと思いました。例えば”weird”という単語を現地ではかなり使いますが、日本での英語教育ではあまり聞く機会がないように思えます。その他にも、明日の都合を聞くときに、”Is it convenient for you tomorrow?” と聞くのもいいですが、カジュアルに”Does tomorrow work for you?” と聞くのも、テンポがよくていいと思いました。
以上、スピーキングに力点を置いて、英語について発見したことを述べてきました。テンポよく自然な英語を話すということは、まだ自分にとっては達成できていないことなので、これらが正しいかどうかはまだ分かりません。ただ、外国で生活してみて初めて痛感した点に基づいたものなので、これらの発見を大切にして次の留学に活かしたいと思います。

(クラスメートと開催した送別パーティにて)



次に、友人関係の面から発見を説明します。
まず、知り合いで、LAのFASで働いている方がいるので、お宅にお伺いしてお話を伺ってきました。また、監査部門で働いているお方も呼んでいただき、お話をお伺いできました。
レドンドビーチという賑やかながらも落ち着いた海辺から歩いていけるところに家を構えて、毎朝ダウンタウンへ出勤し、時間があるときは家族とビーチで過ごすという生活は海好きにはたまらないものであると感じました。お二人とも海外での勤務経験が長いので、大変興味深いお話でした。以下、個々人の視点に依存した雑感程度のものですが、記しておきます。
まず、日本と米国の監査法人のスタンスについて。日本はより職人気質で、アメリカはよりビジネス気質なところがあるが、求められるところは基本的に同じとのことです。ただ、英語のディスカウントファクターは大きいらしいです。監査部門は場合によっては日本企業を対象に日本語を話して監査をすることもありますが、FASのほうは特に日本人だからといって優遇されることもないので、ネイティブとも充分にやっていけるほどの英語力が求められます。それは、アメリカの4年制大学を卒業したからといって満たされるものではなく、プラスアルファで英語に触れて日本語を切るぐらいの努力が必要とのことです。
日本におけるIFRS強制適用に対する慎重な判断に際して、米国が及び腰になったからという理由を金融庁の一部はとっているとのことを伝えたら驚いていました。むしろ米国は将来的にIFRSと歩調を合わせていくことが規定路線となりつつあるので、かえって影響力を高めるためにコンドースメントアプローチを打ち出したのではとの推察です。
また、LinkedinのIPOでにわかに話題となっているITバブルの萌芽は感じるそうです。ドットコムバブルの際と同様に正確な買収価格の算定は難しいとのことです。

LAでできた友人で一番仲良くなったのは韓国系アメリカ人の友達です。ワシントン大学セントルイス校の生徒で、交流プログラムで知り合いました。彼は、メジャーは歯科なのですが、マイナーがビジネスなので、HBSのケーススタディや第三種価格差別の効果に関する話など、色々深い話ができて楽しかったです。また、車を持っているプレイボーイなので、バーやショッピングモールなど、色々なところに連れてってもらいました。もちろんネイティブの先生として英語表現を教わったりしました。
 また他にも、仲良くなったトルコ人やスペイン人とハリウッドへ行ったり、香港人とディズニーランドにいったりと色々ありましたが、観光日記の域を出ないので割愛します。ただ、大事なのは広い意味での日本人コミュニティで日本語を話すことに満足しないことだと思います。留学ではうまくいかないことも多く、不安などを感じることも多いですが、だからといって日本人コミュニティに長時間いたり、そうでなくてもパソコンで日本語のサイトをずっと見ているようだと英語は中々上達しないのではと思いました。私の場合、最低限の方針を決めたら、あまり先のことは考えすぎず、完璧でなくても1日1日を最大限満喫しようとする姿勢をとると、不安も感じなくなり、積極的にいろんな人と交流することができるようになりました。少し精神論的な話になってしまいましたが、このことは留学、ひいては留学から帰ってきても非常に大切なことだと思います。


最後にLAでの生活ですが、思っていた以上に過ごしやすかったです。滞在前は治安の面で少し不安でしたが、ウエストウッドはビバリーヒルズ近郊でお金持ちが多いことからか、とても平和でした。ただ、LA中心部のダウンタウンは夜が更ける8時以降は危険なので、みな警戒していました。また便利さも、全体として日本に近いです。コンビニはあまりありませんが、大型スーパーにいけばなんでも揃うので、特に生活面で不便さは感じませんでした。住んでいた学生アパートはあまりきれいなものではなくストレスがたまりましたが、現地に住んでいる人も声を揃えて古いアパートだというので、個別具体的な要因であると思います。
次に食事も、個人的にメキシカンが好きなこともあって、まったく問題なかったです。なお、LAはメキシカンの人が多く、バスなどの公共機関は全てスペイン語バルセロナの友達はなまりが強いからメキシコ語だと主張していましたが)が表記されています。現地に住むアジア人の中では韓国人が最も勢いがあるのですが、食事としては寿司がブームで、場所によっては築地レベルまでは行きませんが、本格的な寿司を楽しむことができました。少し話は脱線しますが、LAには日本人が多いこともあってか、吉野屋や公文式にいたるまで日本のお店をよく見かけました。そもそものブランドとしても、同じスクールの友達に聞くと、特に韓国人や台湾人の人達で日本に対する憧れを持っている人が多く、驚きました。企業はもちろん、芸能界やアニメでも、国策で広めているわけでもないのに、広く周知されているというのはかなりの強みです。そして、その憧れがあるからこそ、こちらが日本での、既得権益の保護に終始する企業の姿勢や、大学での英語教育の不足や国際化への対応の遅れを教えると、非常に驚かれます。もちろん、こうした事実は、むしろ国内中心でもやっていける日本の豊かさに起因するものだと思います。ただ、今後の展開を考えると日本は自らのブランドを自らの手で無駄にしているようにも感じました。
現在、アメリカは、少なくとも産業面でいえば、東海岸より西海岸のほうが元気だといえます。アメリカンジョークでは人間的に浅いとされがちな西海岸ですが、解放的な気候と雰囲気の中で、いろんな人種が混ざり合って文化を形成しているLAには力強さを感じました。
9月からの留学では、英語の上達と、米国基準を含めた国際会計の勉強に軸を置いて励みたいと思っていますが、同時にこうした西海岸の雰囲気の強みも十分に吸収できたらと思います。